小野原 彩香 先生

ONOHARA,Ayaka

ONOHARA, Ayaka

言語学、統計科学、自然人類学、進化人類学、文化進化、ピッチアクセント、GIS

国際学部 共通部門(2027年度より情報科学部所属予定)

小野原 彩香先生

AIの時代こそ、文系を数字で読み解く。

社会もAIも、私たちの言葉とデータでできています。その数字が何を表すのかを読み解くのが文理融合の学びです。

どのような分野の研究をしていますか?

私は統計学を専門としてきましたが、研究では、進化人類学のテーマや理論に関わる問いを扱っています。
進化人類学には、数式やモデルを用いて人間や社会の変化を研究する分野があります。例えば、生物学では、生き物が絶滅する要因や、個体数の増減が集団に及ぼす影響などを、数式やモデルを使って研究します。進化人類学でも、こうした理論や方法を用いて、人口の増加や人々の移動が集団の形成や分裂にどう関わるのか、といった問いを考えます。
また、人間の心や行動を進化の観点から研究する「進化心理学」もあります。私は、その分野にも関わる問いとして、人が相手を仲間だと認識する仕組みや、その認識が協力行動にどう関わるのかを研究しています。
こうした分野を横断しながら、理論や数理モデルから予測を立て、データを統計的に分析して確かめる研究に取り組んでいます。

小野原 彩香先生

現在の主な研究はどのようなものですか?

進化人類学の中でも、私は人の言語を題材とした研究を続けてきました。大学院生の頃から継続的に取り組んでいるのが、話し言葉の「アクセント」です。
人の言葉には、なぜアクセントがあるのか。その役割の一つとして、人間同士の協力との関わりに注目する考え方があります。例えば、話し方を聞いて「関西の人かな」と感じることがあります。こうしたアクセントの違いが、相手を仲間だと判断する手がかりになるのではないか、という仮説です。
この観点から、滋賀県や関ヶ原周辺などで、アクセントの違いが相手への親近感や協力にどう関わるのかを調べています。

会話する人々のイメージ画像

いまの文理融合の研究につながった大学時代の学びとは?

私が学んだ環境は統計学がメインで、統計学に関するカリキュラムが非常に充実しており、数学の先生も多く在籍していました。
一方で、言語学や心理学、認知科学、哲学、さらには日本美術史や古典・和歌の先生もいらっしゃいました。文系の学問を理系の視点から解釈し、これまで予測できなかったことを予測していく。そうした学びに取り組んでいました。
こうした視点は、近年ますます重要になっています。社会を理解するためにはさまざまなデータを集めますし、生成AIは、人間が生み出した文章などの大量のデータから学習しています。その出力を理解するには、技術だけでなく、言葉や社会についての知識も必要です

グラフのイメージ画像

なぜ文理融合の分野で学ぼうと思ったのですか?

もともと社会的な問題に関心がありました。親からは医療系に進むことを期待されていましたが、医師が臨床で患者さんを診察し、薬を処方するだけでは解決できない問題も多いのではないかと考えていました。
母が保健師だったこともあり、病院や理系の工業的な分野など、社会の中ではさまざまなものがつながっていると感じていました。それらをうまく結びつけたいと思ったのが、この分野を選んだきっかけです。
専門に特化することも大切ですが、これからは幅広い視点を持つジェネラリストが必要になるのではないか。今でこそ言葉で説明できますが、当時は感覚的にそう考えていました。

デジタルツインの画面のスクリーンショット

執筆したものをご紹介ください

技術専門誌『Interface』では、2022年から2023年にかけて連載「プログラミング学園 Python 部」の中の一部の連載「私も地図マスター」を執筆しました。APIやGIS(地理情報システム)の使い方などをPythonで紹介する内容で、ワインの味・品質と気象条件の関係をデータで探る回も担当しています。
実はこの連載は高校生向けに書いたもので、出版社のホームページから問い合わせて入手できるほか、図書館に所蔵されている場合もあります。
また、分担執筆した『テキストマイニングによる言語研究』(ひつじ書房)は、言葉をデータとして分析する一冊です。

『テキストマイニングによる言語研究』と『Interface』の誌面

情報科学部のゼミ活動へ向けての課題は?

企業と連携した活動を実現していきたいと考えています。また、学生の中には就職を目指す人も多いと思いますので、そうした学生をどのように支援していくかが課題です。

授業風景

高校生へのメッセージ

社会に出ると、目の前の課題を解決しなければならない場面が多く、じっくり深く考える時間はなかなか持てません。だからこそ学生のうちに、物事を深く考えること、そして仮説を立てることに取り組んでほしいと思います。
また、高校生のうちは将来を「こうしたい」と決めすぎないほうがよいと思います。進んだ先でさまざまな経験をする中で、思いもしなかった良い出会いがあるはずです。そうした可能性があることを、ぜひ知っておいてください。

小野原 彩香先生

Profile

小野原 彩香先生

言語学、統計科学、自然人類学、進化人類学、文化進化、ピッチアクセント、GIS

小野原 彩香

2011~2014
同志社大学大学院 文化情報学研究科
博士後期課程 修了 博士(文化情報学)
2015~2022
東京大学大学院 理学系研究科 生物科学専攻
日本学術振興会特別研究員(PD・RPD)
2022~2026
立教大学 社会情報教育研究センター 助教
2026~現在
北星学園大学 国際学部 共通部門 准教授

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