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Kiyoto Adachi
ADACHI,Kiyoto
民法,土地法,ローマ法,西洋法制史,
法教育, 災害復興法学
経済学部 経済法学科
足立 清人先生
学生たちが自ら考え、実行する企画型ゼミを展開しています。
学生にとって、ゼミの活動は与えられたものではなく、学生自身のオリジナリティをもった経験です。その経験と、そこから得られた自信とマインドが、就職活動の際、さらには社会に出て仕事をする際にも活きてきます。
ゼミは、2年生から4年生まで各学年で開講しています。もちろん基本は法律の勉強ですが、さまざまな企画活動も展開する企画型ゼミです。
1年間の学生指導スケジュールを決めています。前期は、法律の勉強をガッチリやりこんで、後期は、前期に身に付けた法律知識やチームワークのスキルを土台にして企画立案に取り組みます。
学生指導スケジュールが明確に表れているのが、2年ゼミの活動です。2年ゼミでは、前期に判例をしっかりと読みこみ、後期は外部講師を招いた講演会を企画します。この講演会企画を、学生、外部講師と僕の三者で協力して、大体3ヶ月くらいの期間をかけて練り上げていきます。
学生は、このように企画を立てて実践するのが初めての経験なので、最初は右も左も分からずに大変なのですが、3ヶ月間しっかりとやり切ることで、もの凄く成長します。学生の成長した姿をみると、「やって良かったな」と、いつも思えるので、このような活動を継続しています。
2年ゼミの企画活動での達成感から、学生たちは多くが3年ゼミも継続して履修してくれます。3年ゼミでは、前期から、レベルアップした企画型プロジェクトに取り組みます。
後期は、これまで培ってきた学びと経験を元に、他大学のゼミとの合同ゼミや討論会に参加します。学生たちは、さらに学びを深め、他大学の学生との比較から、自分の立ち位置を確認していきます。
4年ゼミも、2年・3年ゼミから持ち上がってくる学生が多いのです。4年ゼミ生は、これまでの経験と自信から、大人・社会人としての人間性が確立されつつあります。
4年ゼミでは、5、6年前から、大学近郊の小学校で、小学5・6年生を対象に「法教育(私法教育)」授業を展開しています。今まさに、4年生は、法教育授業をするための素材を一から作っているところです。授業案と授業内容を作成するにあたっては、本学の教職実習室の職員や教職履修中の学生からもアドバイスをもらいます。また、「札幌弁護士会」の「法教育委員会」に所属する、法教育活動に熱心に取り組む弁護士の先生方からも、アドバイスや意見交換などをしていただいています。さらに、今年(2021年度)は、「日本弁護士連合会」の「法教育委員会」の委員長を務めていた弁護士の先生にもご協力していただき、学生たちは授業案と授業内容をブラッシュアップしています。
法教育授業を行うためには、小学校の先生方との信頼関係の構築が大切です。学生たちと一緒に何度も小学校を訪問して、小学校の先生方からも、授業案や授業内容について専門的なご教示をいただいています。
そして、1月か2月頃に、小学校で実際に、「法教育」授業を開催しています。有り難いことに、小学校の先生方からも、好評価をいただいています。
この活動は、学生たちが学科で学んだ法律知識を自分のものにする、という学生教育の意味も兼ねています。学科での学びの総決算となる活動です。
本学に赴任する前に、旭川大学で3年間、教えていました。
旭川大学で経営学を担当している江口尚文先生(旭川大学 経済学部 教授)との出会いが、大学教員としてのあり方の転機になりました。
江口ゼミは、旭川ラーメンを素材に経営学の見地から実践的なゼミ活動を展開しています。江口先生から、ゼミ活動の方法や展開について話しを伺って、情熱と愛情をもって学生教育に取り組んでいる大学教員がいることを知って、カルチャー・ショックを受けました。
僕にとって、江口先生は目標であり、尊敬の対象です。そこで、江口先生みたいになろう、と思って、旭川大学での2年目から企画型のゼミ活動を始めました。法律討論会を開催したり、旭川市役所と協力して法律系の企画を開催しました。旭川大学での2年間の経験があって、本学に赴任してからも、企画型ゼミの活動を継続しています。
最初、学生たちは、足立に企画をやらされている、という意識で、困ったときには、外部講師か足立が何とかしてくれるだろう、という甘えた態度でスタートするのですが、学生たちがどこかで変わるのです。
この企画は、自分たちが責任をもって成功させたい、自分たちの企画なんだ、と思い始めます。学生が自ら考えて、自発的に動き出すようになるのです。こうして、学生が、就活にのぞんだり、社会に出て仕事をしていくための学力や社会人基礎力・マインドが磨かれていきます。
恥ずかしいお話ですが、大学4年間、ラグビーかアルバイトかプライベートか…で、全く勉強をしていませんでした。大学5年時に初めてゼミに入ろうと思いアプライしましたが、怠けきった大学5年生を受け入れてくれるゼミはありませんでした。最後に、来る者は拒まずで、超厳しいと言われていた西洋法制史のゼミが受け入れてくれました。僕のような学生が多数、所属していたので、ドンドン脱落していきました。苦しかったですが、今ここで脱落したらダメ人間になる、と思い、ゼミの課題に必死に食らい付きました。
当時、将来どうするか、と迷っていたのですが(司法試験を受けることも考えていました)、ゼミでの勉強を続けるうちに、勉強も楽しいと感じて、ゼミの担当教員の辻泰一郎先生(明治学院大学 法学部 名誉教授)に相談をして、大学院を受験することにしました。辻先生との出会いがなければ、今の僕はなかったと思います。辻先生は僕の人生の恩人です。辻先生とは、今でもやり取りをさせていただいています。
辻先生の学生教育の仕方やゼミの作り方が、今の僕のゼミ運営の柱の一つになっています。僕が辻先生から学問の息吹を与えられたように、僕も本学の学生に学問の息吹を与えたいと思っています。
そして、僕の今の学問のあり方のコアを与えてくれたのが、本学で日本経済史を担当する平井廣一先生(本学 経済学部 教授)です。本学に赴任して2、3年目に、平井先生と話しをするようになりました。平井先生は、継続的に研究成果を論文として公表しています。あるとき、平井先生が、「学者は学問で勝負するもの」、「学者の本分は学問である」と、戒めの言葉を投げかけてくれました。この平井先生の叱咤の言葉が、僕の今の学問に対しての姿勢の柱になっています。僕にとって、平井先生は、超えることができない大きな壁です。
大学院への進学を考えていたころは、バブルの終わりの時期でした。東京にいたので、社会自体が浮かれていた時代でした(遊び方も凄かった…)。当時、遊びながらも、「こういう社会って、どうなんだろう」という問題意識を持っていました。
そこで、特に関心をもったのが、土地、特に土地所有権の問題でした(当時は、土地バブルの時代でした)。僕自身、歴史が好きで、西洋法制史のゼミに所属していたことから、土地所有権を歴史的にかつ比較法的に考えていく、というテーマに惹かれました。土地、そして、土地所有権をどう考えていくか、ということが、僕の研究の原点になります。
現代日本でも、所有者不明土地問題など、土地・土地所有権をどう考えるかがトピックになっています。土地、土地所有権の問題を、歴史的かつ比較法的に、さらには学際的な視点から考えていくことが、これからの研究テーマの一つになります。
業績目録からも分かるように、問題関心が拡散していますが、ここ数年、気候変動や環境の問題に関心を寄せていて、それらの問題に関わる和書・洋書や論文を読み漁っています。
それらの問題と、僕の原点でもある土地・土地所有権や土地の有効活用の問題とを関係づけられるのではないか、と思って、新たな研究に着手し始めています。その一つの基盤として、地域住民による街づくり(合意による制度形成)にも関心をもち、実地調査を行いつつあります。
研究を進めるにあたっては、まず、先行研究をフォローすることが必要かつ大切です。過去の研究者が、その問題に対して、どのような問題意識をもって、どのような切り口で研究をしていたのかを確認しておかなければなりません。そうすると、過去の研究者が、当時の社会で生じていた問題に対して、自分なりの問題意識を持って切り込んでいたことが分かります。このことから、現代を生きる私たち研究者も、現在の社会で生起している問題に対して、学問の立場から切り込んでいかなければならない、と思っています。
僕は、学問とは社会と切り結んでいくものであり、そこに学問の価値がある、と考えています。社会と切り結ぶ学問をアグレッシブに展開することが、大学の存在価値である、と考えます。大学の真の実力は、私たちがいかに研究を行っているか、にあります。研究成果を公表し、社会に問うていくことが、社会に対しての私たち研究者の責任であり、さらには学生に対しての責任でもある、と思います。
本学は、全国の有名大学と比較しても、遜色ない良い大学だと思います。
まず、学生が学んで行くための施設、制度が充実しています。たとえば、中庭のセンター棟2階にラーニング・コモンズという施設があります。学生の学びを支える学習サポートセンターが設置されています。本学のラーニング・コモンズは、全国に誇れる施設・制度であると思います。学生には、大いに活用してほしいです。
さらには、本学は、比較的中規模な大学なので、学生と教員の距離が近いというメリットをもっています。学生から私たち教員に働きかけてくれれば、学生は私たちから、学生にとって有意義な知識や情報を吸収することができます。私たちの仕事は、学生たちに息吹を与えることです。
こうした本学の良い点を、在学生、これから本学を志望する学生、さらに、大学進学を考えている中高生にも分かって欲しいです。
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足立 清人先生