畑 亮輔先生

Hata Ryosuke

HATA,Ryosuke

高齢者福祉、地域福祉

社会福祉学部 社会福祉学科

畑 亮輔先生

福祉とは、生活を創っていく仕事です。
単に制度と結びつけるだけではなく、「個々人の生活」を創っていくことなので、非常に創造的な学問だと思っています。

大学ではどのような事を教えていますか?

メインは高齢者福祉論ですが、それ以外にも学生達の卒論に向けた、アンケートの取り方やインタビュー調査といった福祉に関する研究法を教えています。

福祉の研究を目指したのは、高校生の頃ですか?

志が特にあったわけではなく、私が中高生の頃は社会が氷河期で、今後の社会情勢が不透明だったこともあり、「高齢者」と「福祉」の分野に関わっていれば絶対に生きていけるな、ぐらいの軽い気持ちでこの道に進みました。

福祉は「人に関心を寄せる学問」でもあります。
元々、人間自体に関心があったのですが、修士課程に進んだ時、”人間は多様なように見えながらも、数量的にしっかり捉えて研究していくと、一定の傾向が出てくる”
という観点に出会って、そこから研究の魅力を感じ、福祉と研究を掛け合わせていくというテーマで勉強を続けてきました。

畑亮輔先生

北星学園大学で研究者となった経緯は?

北星学園大学は、福祉の分野では全国的に有名なので、大学院生の頃から知っていました。
自分がしたい研究を続けていくためには、この大学での教員というポジションを得ることはとても魅力的でした。

畑亮輔先生

「社会福祉学」とはどの様な学問ですか?

答えを作り出していくプロセスだと思っています。正解がないから、理論や成果を結び受けていくと、こういう方法があり得るのではないかということを皆で合意形成し、実際に行い、成果が出てくる、ということが福祉の実践の魅力ではないかと考えています。また、この実践が、福祉に携わる一人ひとりのやりがいにもつながっています。

畑亮輔先生

福祉職の方達との勉強会について教えてください。

福祉職は医療従事者に比べて、日々学んでいくことに若干の弱さがありますが、研究と実践は両輪です。福祉に携わる方達が、実践を振り返りながら普遍化できるようなノウハウを導きだすことを現場ができるよう、共に学ぶ勉強会というかたちをとっています。

そもそもは、事例研究に関する本を用いたケアマネージャー向けの研修がきっかけです。その中で本当にやってみたいという方を募って1年がかりの勉強会をして、最終的には研究自体を発表するというゴールを目指しています。

畑亮輔先生

先生が行う「実践」とは、どの様な取り組みですか?

一個人への支援というよりは、仕組みや体制作り、行政での福祉計画の委員会に参画したり、といった働きをしています。行政の方と協力しながらまち作りを進めていくことは、福祉の研究者の役割としても非常に大事であると考えています。

福祉の研究では「実践」も重要ですか?

研究とは、真理を明らかにしていく、究めていくということではありますが、もう一方で、アクションリサーチ=問題解決の手法として研究を用いる、という側面もあります。

今、「地域共生社会」という言葉で表されるような、どちらかが支える側、支えられる側ということではなく、皆それぞれが役割をもって安心して暮らし続けられる地域社会を築いていこうよ、ということが志向されています。
その中で、「実践」だけでは行き詰まってしまうケースにおいても、研究者が入って様々な理論や手法を用いて一緒にソーシャルワークしていくことも、この仕事の魅力と感じています。

畑亮輔先生

福祉における「課題」をどう捉えていますか?

その「課題」自体が研究であると思っています。
研究でエビデンスを積み上げて、それを論文として世の中に出していくことで社会変革のきっかけに繋がると思っています。

私が研究という手法を使ってソーシャルワークしていくことの第一線としては人材育成ですが、それを含めて研究を世に発表することで、現場の方々が働きやすい仕組みを創っていくことに繋がります。
公的な場で発表して周知されることで、研究成果を社会に還元していくことが自分自身の一番重要な役割であると考えています。

畑亮輔先生

学生達の授業の向き合い方はどうですか?

非常に真面目な子が多く、課題にも正面から向き合って取り組んでいます。
ですから、こちらから学習機会を提示すればするほど学んでいってくれることもあり、研究者(教育者)としての力量が問われる思いです。
彼らの強みを活かしながら成長できるような学びを、きちんと準備できるようにと日々思っています。

畑亮輔先生

福祉に目を向ける高校生に伝えたい事は?

もちろん、(福祉に)高い志を持った学生には、教育機会をきちんと提供していきますが、一方、それほど今は興味がなくても、福祉を学ぶ中で人間に関心を持っていく、生活に目を向けることで自分が知らないたくさんの生活がある、社会と密接に関わっているんだということに気づいてもらえれば、十分学んでいけると思っています。
関心を高める機会は今この時から、と思っています。

畑亮輔先生

福祉の道に進んでよかったですか?

人間のことを考えていられますからね。
法学に進む道もあったのですが、そのような社会システムというよりは、人間の生活そのものにずっと関われることが、この仕事に就いて良かったところではないかと感じています。

Profile

畑亮輔先生

高齢者福祉、地域福祉

畑 亮輔先生

2006 大阪市立大学 生活科学研究科 総合福祉科学コース 修士 修了 修士 (学術)
2008 大阪市立大学大学院 生活科学研究科 総合福祉科学コース 博士 単位取得満期退学
2008 大阪市立大学大学院 生活科学研究科 総合福祉科学コース 博士 (学術)
2011 独立行政法人 科学技術振興機構 社会技術研究開発センター アソシエイトフェロー
2012 北星学園大学 社会福祉学部 福祉臨床学科 専任講師
2015 北星学園大学大学院 社会福祉学研究科 社会福祉学専攻(修士課程)科目担当 准教授
2017 北星学園大学 社会福祉学部 福祉臨床学科 准教授
2021 北星学園大学大学院 社会福祉学研究科 社会福祉学専攻(博士課程)科目担当
2023 北星学園大学 社会福祉学部 社会福祉学科 准教授

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