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Koh'ichi Makita
MAKITA,Koh'ichi
臨床心理学
社会福祉学部 福祉心理学科
牧田 浩一先生
特に児童養護施設の子どもたちの研究をしています。
児童養護施設に入所しているのは、厚生労働省のデータによると約6割が虐待を受けて親と一緒に暮らせない子どもたちです。きっかけは、大学院の臨床心理実習で初めて担当したのが、児童養護施設で生活している虐待を受けていたお子さんだったことからです。
その後も縁があって児童養護施設で臨床心理士として働くようになり、より深く彼らのことを知っていくようになりました。
虐待を受けたことによって自信を失い、自分なんかいなくなってもいい。私のことなんか誰も見てない。という思いを持ち、自分の存在価値がわからなくなっています。
心は目に見えないものなので、虐待を受けた子供たちの心理を研究し、論文として残していくということは大事なことと考えています。
自信を回復して、自分はこの世に生きていていいんだ。
幼少期に親には恵まれなかったけど、自分の人生を思う様に生きていけるんだ。と、子ども自身がそういう気持ちになっていくのが目標です。
虐待を受けて感じた悲しみや怒り、自分が悪かったから叩かれたんだといった罪悪感。
そういう様々な複雑な感情が入り混じった状態なので、実際の心理面接では子どもが話したいことを話す、そういう時間にしています。
ですから、何も話をしないということも選択肢の一つ。(私といて)安心していられるような、そういう関係を作っていくというのが大事な仕事です。
遊びを媒介にして関係を作り、子供の感情を理解していく手法がプレイセラピー(遊戯療法)です。
子どもというのは、遊びの中で自分の感情を解放して自由になれるという理論に基づいています。ですから、遊びをいかに理解し、関係を作っていくかということになります。
臨床だけではなく、虐待を受けた子どもたちの悲しみや怒り、罪悪感といった彼らが抱えている感情を研究することで、どのように解決できるのか、またどういう関わりをもつことによって彼らが成長していけるのか。という課題意識を持ったので、その研究を深めるために大学の教員になりました。
人というのはポジティブ、肯定的なものに関しては比較的見えやすく理解しやすいですが、他方、ネガティブで否定的なものには嫌悪感を持ちますし、見えない見たくないと思うものです。
心理学を学ぶことによって、フレーム(理論・方法)を用い、人間を理解していく。そうすることで、見えにくいもの、見たくないものが見えるようになります。人間をどう見ていくのか、ということを学生には伝えていきたいです。
※フレームとは臨床心理学における理論や方法
一括りには言えませんが、大学4年間ですごく成長するんだなと思って見ています。学問的知識を得るだけではなく、人間としての成長や自己理解が進み、他者にもやさしくできる。そういう成長が4年間で見えます。
そこには、北星学園大学の学風・歴史でもあるキリスト教が背景にあるのかもしれません。隣の人にはやさしくしましょう。という精神(スピリッツ)がある中で成長できるのかなと思います。
私自身もこの大学の出身者なので、この大学に育ててもらったという気持ちがあります。
Profile
臨床心理学
牧田 浩一先生
1993 北星学園大学 文学部 社会福祉学科 卒業 学士〔社会福祉学〕
1997 鳴門教育大学大学院 学校教育研究科 学校教育専攻 修士課程修了 修士〔教育学〕
1999 兵庫教育大学大学院 連合教育学研究科 学校教育実践学専攻 博士課程単位取得満期退学
2002 鳴門教育大学 学校教育学部 助手
2006 北星学園大学大学院 社会福祉学研究科 専任講師/併任
2006 北星学園大学 社会福祉学部 福祉心理学科 専任講師
2011 北星学園大学大学院社会福祉学研究科/併任 准教授
2011 北星学園大学 社会福祉学部 福祉心理学科 准教授
2013 タビストック・センター The Tavistock and Portman NHS Foundation Trust; The Tavistock Centre Infant Mental Health; Early Years Development(M9) & Psychoanalitic Observation Studies(M7) 留学
2018〜現在 北星学園大学 社会福祉学部 福祉心理学科 教授 北星学園大学大学院社会福祉学研究科/併任 教授