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Eunjin Shin
SHIN Eunjin
スポーツ社会学
経済学部
申 恩真先生
フィールドワーカーとして女子サッカーチーム内に直接身を置きながら、表面化されていない選手たちの生活上の問題について調査し、その現地で知ったことを社会学的な観点から『女子サッカー選手のエスノグラフィー:不安定な競技実践形態を生きる』(春風社)という一冊の本にまとめ出版しました。
これは博士論文を改稿したもので、日本の女子サッカー選手たちの生活について研究したものです。
例えば2011年に日本の女子サッカー代表チームが、ドイツワールドカップで優勝したのですが、その時にメディアで多く取り上げられたのが、女子サッカー選手たちの生活、特に経済的な問題についてです。
女子選手たちがサッカーだけでは食べていけず、生活のために他の仕事を掛け持ちしていること、また男子サッカー選手との格差問題ということが注目を浴びました。そのことから、私自身がフィールドワーカーとして現地に直接身を置きながら、表面化されていない女子選手たちの生活上の問題について調査して、自分が見て得られたものを社会学的な観点から言葉にしたものが、この著書です。
一人でも多くの方々に、女子サッカー選手の生き方、生活について理解していただきたいという想いを込めました。
女子サッカー選手というと、男子サッカー選手に比べて「二流」とか、「サッカーは元々男性のスポーツで、そこに女性が参入することで大変な思いをするのは当たり前ですよね」という、世間のそういった認識を変えていきたい、そういう気持ちもありました。
「アスリート=男性」というジェンダーの意識的な問題も、この本を読んでいただくことで、女子選手たちもアスリートとして生きていて、誰よりもアスリートとして頑張っているし、逆に大変な状況に置かれているからこそ、もっと頑張ろうとしていると、つまり女子選手たちは、誰よりも「アスリートである」ということを、皆さんに理解していただきたかったです。
やはりスポーツ界におけるジェンダー秩序と言いますか、男性が優位で女性が下の存在であるような上下関係をつけることや、また、女性がサッカーをすることに対してのハードルを下げたい、女子サッカーは面白くないなどのそういう認識を解消していきたいという気持ちが強かったです。
それは時間がかかることだとは思いますが、この本を一冊読めば、女子サッカーの歴史から女子サッカー選手の生き方まで、100%は理解できなくても、一人でも多くの方に少しは(女子サッカーへの)認識の改善ができれば幸いだと思いながら執筆しました。
韓国では、プロ選手であるならば年俸の差はありますが、その競技だけで食べていける環境になっていて、アマチュアとプロの境界線がはっきりしています。
その一方、韓国では途中からスポーツ選手(プロ)になろうとしても、指定されているエリートスポーツの学校に通っていない人たちは、スポーツ選手になるのは厳しいという現状があります。逆に、日本の場合は途中から誰でも参加することはできますが、別の仕事をしながらプロの競技生活をしなければいけない立場にある選手も多くいます。
日本と韓国では共通点も違いもあると考えます。私自身もこの研究をしながら日本のスポーツ選手の経験を知り、理解することができて良かったです。
大学2年生まで韓国にいて、3年生から大学へ編入という形で日本に来ました。
体育教員になりたいという気持ちがあったんですが、教員になるうえでもう少し(もっと)勉強したい気持ちも大きくなりました。その時には自分が研究者になるということに想像もつきませんでした。興味のある分野を勉強していく中で今の場所にいる、という感じです。
「健康の科学」という授業で、日々の生活の中での健康について基礎知識を教えています。
例えば喫煙のことや、飲酒のこと、食生活、運動、睡眠のこと、患者の家族の話もしています。
例えば患者をケアする立場にある患者の家族たちは経済的な問題から、その患者が今まで担ってきた役割を家族で分担をしないといけないこと。
そういうときにメンタル面や経済的な負担がかかると、さらに病気が重ければ重いほど、回復するのに必要な期間が長ければ長いほど、患者の家族の負担は大きい。
患者の家族を第二患者というふうに捉えることもできるので、知識だけではなくそういう認識の面も含めて講義をしています。
その授業では、韓国の伝統音楽、衣装、それから最近K-POPも流行っていますので、現代の話も入れながら講義をしています。
韓国について知ること、理解することももちろん大切なのですが、韓国の事例を学ぶことにより、「文化相対主義」という考え方を学ぶこと、つまり各社会には多彩な文化があり、その文化の価値を外部の視線から決めつけない姿勢の大切さについて話しています。
やはり人間というものは区別したがる。自分の文化と、他人・他国の文化について、誰が上位で、どこの国が下位なのかと決め付けてしまう。本来、文化とは定量化できないものですが、どこで教わったのか、無意識に考えてしまうのか、価値や成否を考えてしまいがちです。
韓国の事例を通して、そういう二極的な考え方ではなく、その国それぞれに大切なもの、大切な慣習や文化があるということを伝えています。
この授業を受けている皆さんは、文化の上位関係をつけるのではなくて、異文化に対して歴史から学び、なぜそのように考えているのか、その人々にとっての文化、慣習、日常というものは何なのかを一緒に考え、韓国のことだけではなく、様々な多様な国についても、自分と他人との差異を理解するところまで実践してほしい。そういう考え方をもって韓国の話をしています。
国際教育に興味をもっている学生が多いイメージです。
私は外国籍の体育教員なので、デスクで授業を受けている状況とは違い、コミュニケーションを常に取れるような授業環境があると思います。
授業後に学生たちから、韓国の友達にこのような場合にはどのように接すれば良いですか、とか、韓国語のニュアンスや言葉の質問をされたりします。
学生たちは積極的に外国語の勉強をしていて、会話が通じているかどうかを私で練習しても良いですよと言っています。そういうこともあって、異文化や外国語の学習に対して積極的に取り組んでいる学生が多いと思います。
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申 恩真先生