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本学教員Robert Thomsonの論文が米国科学アカデミー紀要に掲載されました

2018年07月09日

さてこの度、本学文学部英文学科のRobert Thomson専任講師が第一執筆者の論文が、アメリカの学術雑誌『Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(米国科学アカデミー紀要)、略称:PNAS』に掲載されましたので、お知らせします。

この研究は、Robert Thomsonをはじめとして、北海道大学大学院文学研究科の結城雅樹教授ら世界18ヶ国の研究者27名との共同によるもので、タイトルは「Relational mobility predicts social behaviors in 39 countries and is tied to historical farming and threat(39ヶ国の関係流動性は社会行動を予測し、農業と脅威の歴史に結びついている)」です。
Facebookの広告を用いて募集した、世界39ヶ国・地域の16,939名を対象に調査を行った結果、論文のアブストラクトにあるように、① 関係流動性(それぞれの社会における対人関係の選択肢の多寡)は、欧米圏、オセアニア圏、中南米圏で高く、アジア圏、中東圏では低い傾向にあること、② 関係流動性が高い地域の人は低い地域の人と比べて、主体的に人助けをしたり、自分の秘密を共有したりするなど、より積極的に他者と関わり、他者に親密性を感じやすい、自尊心が高いなど、人間関係の獲得と維持に必要と考えられる心の働きが強いこと、③地域の関係流動性は、その地域が過去に厳しい自然・社会環境下にあった場合ほど、また稲作のような相互の助け合いが必要な食糧生産を行っていた場合ほど低い傾向があることが分かりました。

以上の成果は、人間の心の多様性の原因理解に寄与するとともに、世界中に国間の移住などが進む中、人間関係の流動性が急速に進行しつつある現代社会の在り方や今後の教育について考えていく際の参考になると期待されます。

※ この研究は、日本学術振興会科学研究費助成事業(15H03445)の助成を受けました。
※ 論文掲載箇所 http://www.pnas.org/content/early/2018/06/28/1713191115


調査対象国・地域の関係流動性
(赤が濃いほど関係流動性が高く、青が濃いほど関係流動性が低い)

〔本件に関するお問い合わせ〕
北星学園大学文学部 英文学科 専任講師 Robert Thomson
TEL:011-891-2731(代表) メール:rob.thomson@hokusei.ac.jp(日本語可)